データ好きの“もう一つの居場所”って?六本木「データ界隈100人カイギ」に参加してきた!

 六本木の住友不動産六本木グランドタワーにあるIT企業「ウイングアーク1st」で開かれた交流イベント「データ界隈(かいわい)100人カイギ」に参加してきました!

 会場には、データ分析やエンジニアリングに関わる人たちを中心に約30人。仕事帰りの人が多いはずなのに、始まる前からあちこちで名刺交換や雑談が始まっていて、「今日はおもしろい話が聞けそうだぞ」という熱気が漂っていました。

「データを捨てよ、町へ出よう!」ってどういうこと?

 「データ界隈100人カイギ」は、国内外で展開されているコミュニティイベント「100人カイギ」から生まれた派生イベントです。毎回4~5人のゲストが登壇し、データに関する仕事や活動を“自分の言葉”で紹介。ゲストが100人に達するまで続くという、ちょっと長期戦な企画です。

 コンセプトは「データを捨てよ、町へ出よう!」。

 ダッシュボードの前だけで完結させず、実際の街や現場に足を運んで、肩書や会社の垣根を越えて対話しよう。そんなメッセージが込められているそうです。社内では一人になりがちな“データ担当者”にとっての「もう一つの居場所」をつくりたい、という思いも背景にあります。

 11月21日開催のこの日のテーマは「おもしろデータ会」。ラーメン、町中華、ホテル、IoT……と、固い話になりがちな“データ”のイメージをいい意味で裏切るラインアップでした。

町中華のオーダーデータが、まちの資産になる?

 最初に登壇したのは、イベントのキュレーターも務める「データパレード」社長の石井亮介さん。テーマは、幼なじみが営む東京・高田馬場の町中華「一番飯店」です。

「データパレード」社長の石井亮介さん

 石井さんは、ノーコードツールを使ってお店のオーダーシステムを構築。提供時間や売れ筋メニューを自動で記録・可視化できるようにしたことで、「ピーク時間帯の仕込み量を調整しやすくなった」「新メニューのヒントが見つかるようになった」といった変化が生まれたそうです。

 さらに、このお店の実データを大学の授業で教材として提供。学生がリアルな飲食店のデータを分析することで、「ただのグラフ」だった数字の向こう側に、店主やお客さんの姿を想像できるようになったと話していました。

 「特別な大企業じゃなくても、町の小さな飲食店でも、データを使えば日々の悩みを一つずつ解決できます。将来的には、全国の町中華から注文データを集めてオープンデータにし、研究者や事業者にも開いていきたい」

万博パビリオンの“ビル管理DX”がすごい

 2人目は、東急コミュニティーでビル管理に携わる鎗野真次さん。大阪・関西万博のハンガリーパビリオンをフィールドに、IoT機器やデジタルツインを活用した「ビル管理DX」の取り組みを紹介しました。

東急コミュニティーの鎗野真次さん

 建物内の温度や電力、人の動きなどをセンサーで取得し、3Dモデル上に反映させることで、遠隔からでも施設の状態を一目で把握できる仕組みをつくっているそうです。短期間に多くの人が訪れる万博会場では、空調や人流の変化が激しく、トラブルが起きたときの影響も大きくなります。そこを“勘と経験”だけに頼らず、データで支える試みで、ビルの裏側の世界をデータでのぞき見しているような感覚になります。

 「現場担当者の頭の中にあるノウハウを、データとして見える形にすることが大事です。安全面だけでなく、エネルギーの効率化や働く人の負担軽減にもつなげていきたいです」

世界のラーメン事情、データで見てみたら

 3人目は、「日本Tableauユーザー会(JTUG)」で活動する永瀬宗彦さん。テーマは、世界各地のラーメン店の分布や好みを可視化した「世界ラーメンマップ」です。

「日本Tableauユーザー会(JTUG)」で活動する永瀬宗彦さん

 アンケートとGoogleマップの店舗データを組み合わせ、国や地域ごとのラーメン店の数、人気のスープ、よく食べられている時間帯などを地図上に表現。ダッシュボードを操作しながら、「海外ではラーメンがディナーの“ちょっと良い外食”として親しまれていることが見えてきた」と解説していました。

 きっかけは「旅行先でもついラーメン屋を探してしまう自分の習性」。集めた情報を整理するうちに「どうせなら世界中のラーメン好きと共有したい」と思い、ユーザー参加型の仕組みをつくったそうです。

 「ラーメンの話なら、データに詳しくない人とも盛り上がれますよね。身近なテーマを入り口にして、数字の裏側にある文化や生活を想像してもらえるのが面白いところ。今後はもっと多くの国・地域とつながって、“世界のラーメン地図帳”みたいなプラットフォームに育てていきたいです」

「ホテル分布」と「出生率」から読み解く、地域の姿

 4人目は、自治体の情報システム部門で働く矢部弦也さん。「ラブホテルの分布」と「出生率」を掛け合わせて可視化したプロジェクトを紹介しました。

自治体の情報システム部門で働く矢部弦也さん

 公表されている統計と位置情報を組み合わせることで、都心の特定エリアに店舗が集中している様子や、都道府県ごとの店舗数と出生率の相関が地図やグラフで浮かび上がります。「数字だけでは見えにくい地域の特徴も、可視化すると急にリアルに感じられる」と話していたのが印象的でした。

 もともとは個人の趣味として始めた可視化プロジェクトでしたが、SNSで発信しているうちに話題になり、イベント登壇や他地域のデータ担当者との交流につながったそうです。「役所の外に出てみることで、同じような課題意識を持つ人とつながれた」と、行政の現場とコミュニティの“二足のわらじ”ならではの楽しさも教えてくれました。

 「今回のテーマのように、因果関係を断定できないデータであっても、そこから仮説や議論が生まれること自体が可視化の価値だと思います。ちょっとした違和感や疑問をきっかけに、データを眺めてみる人が行政の中にも外にも増えてほしいですし、自分もそうした『一歩外に出るきっかけ』を届けていきたいです」

自作センサーで“その場の空気”をデータにする

 ラストは、データ可視化やシステム開発を行う「BeesConnect(ビーズコネクト)」グループのエンジニア・福村英之さん。自作した距離センサーを使って、人の動きをリアルタイムに検知するIoTデモを見せてくれました。

「BeesConnect(ビーズコネクト)」グループ・エンジニアの福村英之さん

 会場前方の装置の前で手を動かすと、スクリーン上の数値が瞬時に変化。数センチの違いがきれいなグラフになっていく様子に、会場からは「おお〜」という声が上がります。センサーから得た値をクラウド経由で可視化する流れや、配線・プログラムの仕組みも丁寧に解説していて、「これなら自分でも試せそう」とメモを取る参加者もちらほらいました。

 「はんだ付けが必要といっても、使う部品は数点だけ。特別な設備がなくても、少しのプログラムで身の回りの動きをデータにできます」

データから“人”に戻ってくる感覚が心地いい

 登壇がひと通り終わると、会場はそのまま交流タイムに。初対面同士が「さっきのラーメンの話、あれって…」と盛り上がったり、「うちの会社でもセンサー試してみたい」と相談したり、あちこちでミニ勉強会のような会話が始まっていました。

親交を深める参加者たち

 イベントの発起人であり、「ウイングアーク1st」メディア事業室長の野島光太郎さんは、次のように話します。

「ウイングアーク1st」メディア事業室長の野島光太郎さん

 「データに携わる人は、社内で孤立しがちですし、ツールや会社ごとにコミュニティが分かれてしまうことも多いですよね。『データ界隈100人カイギ』は、そうした人たちが会社や肩書を越えて集まれる“もう一つの居場所”にしたいと思って始めました」

 「今回はラーメンや町中華、ホテル、IoTとテーマもバラバラでしたが、それぞれの現場の話を通じて、参加者同士がすぐに打ち解けていたのがうれしかったです。すでにその場でプロジェクトが立ち上がったケースもあるんですよ」

 「これからも、ツールや会社の壁を越えて、同じように悩み、試行錯誤している仲間がゆるやかにつながる場にしていきたい」とのこと。次回開催は2026年3月19日予定だそうです。

上京ライフ的・ひと言まとめ

 「データ界隈100人カイギ」は、ガチガチの勉強会というより、データ好きが集まって肩の力を抜いて話せる“たまり場”のようなイベントでした。

肩の力を抜いて話す参加者たち

 データの仕事をしている人はもちろん、「なんとなく興味ある」「転職でデータ系にチャレンジしたい」と考えている上京勢にとっても、世界が広がるきっかけになりそうです。

 気になった人は、次回、ちょっと勇気を出して「町へ出て」みるのもアリかもしれません。

■関連URL

データ界隈100人カイギ

https://100ninkaigi.com/area/datakaiwai